当院ではGE Healthcare社製のLOGIQ P10というエコーの機械を導入しております。勤務医時代から様々なエコーの機械を使ってきましたがGE社のLOGIQのシリーズは最も画質が鮮明であり、開業したらこのエコーを採用しようと私が長年考えておりました。当院では腹部、心臓、頚動脈、甲状腺、下肢静脈、その他体表部のエコーなどが施行可能です。
腹部エコーでは肝エラストグラフィー検査(SWE:Shear Wave Elastography)にも対応しております。肝エラストグラフィー検査は患者さんに負担がかからない方法で肝臓の硬さを図ることができる検査です。例えば脂肪肝という生活習慣病の疾患があります。脂肪肝は普通の単純性脂肪肝(普通の脂肪肝)と肝臓に炎症を伴うNASH(非アルコール性脂肪肝炎)と呼ばれる脂肪肝に分けられます。NASHの場合は慢性的な炎症を起こして徐々に肝臓に線維化が進行し最終的には肝硬変へと進行してしまうことがあり注意が必要です。両者は従来は肝生検(患者さんの肝臓に針を刺して組織を採取し顕微鏡でみる)という負担の大きな検査を行わなければ区別が難しかったのですが超音波のエラストグラフィー(SWE)を行うことで肝臓の硬さ(線維化の進行具合)を非侵襲的に(患者さんに負担をかけずに)推定することができます。
エラストグラフィー(SWE)による肝臓の硬さのカットオフ値はエコーのメーカー毎に異なるので注意が必要です。(そのため一概に他施設のデータを比較はできません)
GE社製LOGIQ P9のSWEでの肝線維化評価のカットオフ値は
- 6.82kPa以上でF2(中等度)以上の肝線維化
- 7.60kPa以上でF3(重度)以上の肝線維化
- 9.30kPa以上でF4(肝硬変)
となっております。
(Ioan Sporea, Felix Bendeらの報告。Med Ultrason 2020, Vol. 22, no. 1, 7-12)
当院のエコーは次世代のP10になりますがこの値を参考に肝臓の硬さの評価を行うこととなります。
頚動脈エコーにおいては当院のLOGIQ P10ではautoIMT測定機能というのが備わっています。IMTとは頚動脈の内膜と中膜を併せた厚みのことでこの厚みを測定することで動脈硬化の程度を評価することができます(IMT1.1mm以上で動脈硬化と判断)。
手動で複数個所でIMTを測定していたものを自動計測することにより検査時間を大きく短縮することができます。