AGAとは男性型脱毛症のことです。早い方では20歳代から前頭部や頭頂部が薄くなり抜け毛が多くなってきます。側頭部や後頭部の毛髪は保たれます。
フィナステリドは男性型脱毛症治療薬として認可されたプロペシアの後発品です。
フィナステリドは5α還元酵素(5αリダクターゼ)という酵素を阻害する作用があります。
男性ホルモンにも善玉と悪玉のものがあります。悪玉の男性ホルモンはジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれ胎生期においては外性器の成長など重要な働きをしますが少なくとも成人男性にとっては男性型脱毛症の原因になったり前立腺肥大の原因になったりと余り好ましくない作用が前面に出てきます。
ジヒドロテストステロン(DHT)が頭髪の毛根に作用すると結果的に抜け毛、脱毛が進みやすくなる方向に進みます。
5α還元酵素(5αリダクターゼ)は善玉の男性ホルモンであるテストステロンを悪玉の男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)に変換する作用があります。
フィナステリドはその酵素の働きを抑えること、すなわちテストステロンが悪玉のジヒドロテストステロン(DHT)に変換されるのをブロックすることにより男性型脱毛症に効果を発揮します。
フィナステリドの抜け毛の進行を抑える効果、毛を太くする効果は頭頂部には特に有効といわれております。前頭部生え際に対しては頭頂部より効果は落ちると一般的には言われておりますが個人差がかなり大きいため、まずは半年ほど内服して効果を見てみるのがよいと思われます。
副作用には1-5%未満で性欲減退、1%未満で勃起不全があります。しかし前述のように理論上はテストステロンを悪玉のジヒドロテストステロンに変換されるのをブロックするという作用機序のため一定数は心因性やプラセボによる副作用も含まれている可能性も否定はできません。
また前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAの値を実際の値よりも40%~50%ほど下げてしまうことは注意が必要です。つまり本来PSAが上昇しており前立腺がんが疑われ精査されるべき人が偽陰性になってしまう可能性があります。そのため特に泌尿器科を受診される際やがん検診(特に前立腺がん検診)を受けられる場合には担当医にしっかりと伝えていただくことが重要です。一般的にPSAが陰性だと前立腺がんは否定的と判断をされることが多いですが、フィナステリドを内服中の場合はその判断は当てはまらなくなるからです。
また前述のとおりジヒドロテストステロン(DHT)は成人男性の立場にとっては悪玉男性ホルモンであっても胎生期においては重要な働きをしているため妊婦さんが触れないようには注意が必要と言われております。内服しなくても経皮的に吸収される可能性もあるため妊婦の方は触れることも控えるべきと言われております。