現在チャンピックスが出荷停止中のためニコチンパッチ製剤であるニコチネルTTS®でニコチン置換療法を行うことにより禁煙治療を行います。全部で12週間のスケジュールとなり計5回通院して頂くことになります。ニコチンパッチ製剤を使うことで禁煙時の離脱症状を抑えて禁煙成功率を高めることができます。1日1枚ニコチンパッチ製剤のニコチネルTTS®を貼って頂くと数分後には効果が出てきてタバコを吸わないことによるイライラなどの症状を抑えることができます。タバコを吸いたくなったら貼付し寝る前は剥がすという方法をとる場合もあります。
加熱式タバコを使用している患者さんにおいても現在では保険適応で治療を行うことができます。ご自身の意思の力だけに頼る禁煙と比べて禁煙成功率が2倍に高まるとの報告があります。禁煙後に食欲が増して体重増加を来す方がいらっしゃいますがニコチンパッチ製剤では食欲を抑える効果もあるためその懸念点が軽減されます。
ニコチネルTTS®を貼る場所は上腕部か腹部、腰背部となっておりますが貼付剤であるという性質上、一部の方で皮膚のかぶれが出る方がいらっしゃいます。ニコチネルTTS®には3種類の大きさのものがあり大きいもの(30㎠)から開始して徐々に20㎠、10㎠と小さいニコチンパッチ製剤に切り替えていきます。サイズが小さくなるにつれて含有されるニコチン量も徐々に少なくなっていきます。小児の手には届かないように注意が必要です。喫煙している成人にとっては抑えたニコチン量であっても小児には過剰なニコチン量になり経皮的に吸収されて重度の中毒症状を起こす恐れがあるからです。また妊婦の方にも使用はできません。ニコチネルTTS®で不眠の副作用が出る方もいらっしゃいます。頻度としては5%以上と決して稀ではありません。
以下でニコチネルTTS®による禁煙外来12週間のスケジュールをお示しします。
1. 禁煙外来初回
- 呼気一酸化炭素濃度測定
- ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)を受けていただきます。全部で10項目の質問に答えていただき5点以上が保険診療の対象なる条件の1つです。
- 1日の喫煙本数×喫煙年数(ブリンクマン指数)が35歳以上で200以上であることの確認(35歳未満ではこの条件はありません)
- 禁煙治療を受けることに文書で同意を頂きます(保険診療の条件の1つです)
ニコチネルTTS30 2週間分処方(計14枚)
2. 禁煙外来2回目(2週目)
- 呼気一酸化炭素濃度測定で禁煙ができているかの確認(禁煙できていると呼気中の一酸化炭素濃度が低下してくるので客観的にわかります)
- ニコチネルTTS30 2週間分処方(計14枚)
3. 禁煙外来3回目(4週目)
- 呼気一酸化炭素濃度測定で禁煙ができているかの確認
- ニコチンパッチ製剤サイズダウン1回目(20㎠←30㎠)
- ニコチネルTTS 20 2週間分処方(計14枚)
4. 禁煙外来4回目(6週目)
- 呼気一酸化炭素濃度測定で禁煙ができているかの確認
- ニコチンパッチ製剤サイズダウン2回目(10㎠←20㎠)
- ニコチネルTTS10 2週間分処方(計14枚)
5. 禁煙外来5回目(最終回、12週目)
- ニコチンパッチ製剤終了後も禁煙が継続できていることの確認
- 禁煙治療できなかった患者さんは今後の方針について改めて相談
※ニコチネルTTSは最初は30㎠を4週間使用、その後20㎠を2週間使用、最後は10㎠を2週間で終了。計8週間投与になっています。
ニコチネルパッチを用いた計12週間の禁煙外来金額の目安は、3割負担で約13000円、1割負担で約4300円、自費で約43000円となります。