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14 男性更年期障害

更年期障害というと女性の疾患というイメージが強すぎて男性にも更年期があるのかと思われる方も多いと思います。
しかし男性も年齢とともにテストステロン(男性ホルモン)が減少していき精神面にも身体的にも様々な症状が出てきます。

一般的には男性ホルモンは40代以降から減少傾向にあるといわれ、これに伴い男性でも女性の更年期のような色々な不調が出てきて生活の質(QOL)を悪化させます。また筋肉が付きづらくなったり、内臓脂肪型肥満の悪化、脂質の代謝への悪影響、性欲の低下や性機能障害(ED)が出現することもあります。
倦怠感、不眠、不安、いらだち、抑うつ、集中力が散漫、記憶力の低下、モチベーションの低下、疲れが抜けにくい、発汗、頭痛といった症状など多彩な症状が見られますが医療従事者が男性型更年期も可能性の一つとして考えて診療をしないと明確な検査異常がないという判断をされてしまうこともあります。

男性更年期の症状はご本人としては大変つらいものですが病気としても認識しづらく周囲の理解も得られづらい疾患であると思います。ご本人としてもつらくても病院へ行くほどではないと考えてしまうかもしれません。
病院を受診されても一般の検査では明らかな検査異常は現れないため(テストステロンや遊離テストステロンは一般的な検査項目には入っていないため)人によってはうつ状態、うつ病ではないかと心療内科を受診されることもあるようです。もし男性型更年期障害が思い当たるという方は一度ご相談ください。

AMSスコア(男性型更年期質問票)を記入頂き、男性ホルモンの値が低ければ補充をすることによって症状が改善する場合もあります。
保険診療としては持続性男性ホルモン製剤であるテスチノンデポー筋肉注射を2-4週間に1回行う方法があります。
前立腺がんのある方や多血症の方、ワーファリンを内服中の方、睡眠時無呼吸症候群のある方、重度の肝機能障害、重度の腎機能障害のある方もテスチノンデポーによる治療は禁忌となります。
副作用として多血症、肝機能障害があるため定期的に採血でチェックを行います。また造精能低下の副作用もあるため挙児希望のある方や40才未満の方はテスチノンデポーによる治療は当院では控えさせて頂いております。
また治療を行うのは前立腺がんの腫瘍マーカーのPSA2以下の方にも限定させて頂いております。

保険外診療になりますがテストステロンによる軟膏を陰嚢に塗布する方法もあります。
筋肉注射の治療に比べて副作用は少ない治療になりますが定期的な採血フォローは行っていくこととなります。
なお男性ホルモン低下に伴う症状の現れ方は個人差は大きく、男性ホルモン補充療法で種々の症状の改善が乏しい場合は心療内科的なアプローチなど別の方法が必要な場合もあります。