喘息はアレルギー性の気道炎症が慢性的に起こって、気道の過敏性が亢進して咳が続いたり、ヒューヒューゼイゼイする(喘鳴)といった気道が狭くなる症状が起きる病気です。
気道の過敏性が亢進することによって健康な人では反応を起こさない刺激に対して気管支の平滑筋が反応して収縮し気道が狭くなってしまう反応が起きてしまいます。
気道の過敏性を亢進させる誘因、刺激としては軽微な風邪を含めた感染、運動、アレルゲン(アレルギーを起こす物質、例えばダニなど)、天候の変化などが挙げられます。
また同じ喘息の患者さんであっても発作があるときとないときで咳や喘鳴、息切れなどの症状には変動があるのが特徴です。
夜間や朝方に発作が起きたり増悪することも多くこれには自律神経がこの時間帯に副交感神経優位になっていることと関連しているとも言われています。副交感神経が優位な状態では気管支の平滑筋は収縮する方向に行き、逆に交感神経優位な状態では気管支は拡張する方向に行きます。そのため発作時の治療薬には交感神経を刺激する吸入薬(SABA)を即効性のある気管支拡張薬として用います。即効性のある気管支拡張薬(SABA)の代表的なものにメプチン(プロカテロール)があります。
しかし、喘息の病態の本態としてはアレルギー性の気道炎症(主に好酸球性の炎症が多いです)とそれに伴う気道過敏性の亢進にあるため、気道の慢性的な炎症を抑えるために吸入ステロイド薬(ICS)が一番重要な位置づけとなります。吸入ステロイドに長時間作用型の気管支拡張薬を配合した製剤(ICS/LABA)がよく使われます。
吸入ステロイド自体は即効性はないため症状がないときに使わなくなってしまい、発作時にだけ即効性のある気管支拡張薬(SABA)を使う患者さんもいらっしゃいますがこれだと全喘息の根本的な治療にはならず今後長期的な経過の中で更に増悪してしまう可能性があります。
ステロイドというと怖いイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、吸入薬として用いる場合は局所投与になるため全身性の副作用は出づらくなります。ただし吸入後にノドにステロイドが残っていると口腔カンジダが起こる可能性があるため吸入後にはうがいをして頂く必要があります。喘息は以前は死亡率が高かった疾患ですが今は治療薬の進歩によりしっかり治療をすれば増悪を防いで社会生活を送ることができる疾患ですので症状がある方はそのままにせず受診するようにしてみてください。