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07片頭痛・緊張型頭痛

片頭痛や緊張型頭痛はよくある病気だからといって市販の頭痛薬でその都度対応している方も多いかもしれません。頭痛の頻度が少なければそれでも良いのですが1ヵ月に10回以上も頭痛薬を内服している方は注意が必要です。頭痛薬の飲みすぎが原因でかえって頭痛が慢性化して治りづらくなっている可能性があります。

以前は薬物乱用頭痛、今は薬物使用過多による頭痛(MOH:medication overuse headache)と呼ばれる病態があり頭痛薬の使用回数が多いことで頭痛がかえって長期的に悪化してしまいます。頓服で使う頭痛薬の種類は問わないため手に入りやすい市販薬が頻度的には原因薬剤として多くなります。

人間の脳には頭痛を抑える働きがもともとありますが頭痛に対する痛み止め薬を頓用で使いすぎることでその働きを抑えてしまうといわれております。整形外科的な理由で、例えば腰痛がある患者さんが毎日鎮痛薬を常用したとしてもそのことで腰痛が悪化することは一般的にはありませんが頭痛の場合は痛み止めの内服回数も多くなり過ぎないように注意する必要があります。

すでに薬物使用過多による頭痛(MOH)になっている可能性がある、もしくは頭痛薬の頓服回数が多い場合は頭痛の予防薬を使う必要があります。片頭痛の場合はミグシス®などの予防薬や漢方薬などで頓服薬の回数を減らしていきます。

これらの従来の予防薬を用いても頓服薬の回数が十分減らせない場合はCGRPに対する抗体製剤による治療にも当院では対応しております。自己注射製剤ですが患者様が不安なく安心して使えるように院長自身が丁寧に実技指導を行います。

CGRPとはカルシトニン遺伝子関連ペプチドのことですが簡単に説明すると三叉神経の終末から分泌される痛み物質です。CGRPが脳の血管の拡張を引き起こし痛みを引き起こします。「アイモビーグ®」「エムガルディ®」「アジョビ®」と3種類ありますが当院ではアイモビーグで治療を行っております。

基本的にCGRP関連の抗体製剤は月に1回使用するものです。しかし薬物乱用頭痛に移行している方は頓服の回数を減らすことから数回使用しただけで頭痛が以前よりだいぶ改善することもあります。このことは大きな利点だと思っております。私自身の経験でも片頭痛で頓服の頭痛薬を月に15回以上内服していた方がCGRP関連の抗体製剤を1度使用しただけで中止した患者さんがいらっしゃいましたがその方はその後中止した後もほとんど頓服の頭痛薬を使わなくても問題のない状態を維持しています。

頭痛で痛み止めを飲むのが習慣になってしまっている方は一度ご相談頂ければと思います。